たいせつなこと
絵本のタイトルは、「たいせつなこと」。カルテットの絵本コーナーのうち、少し大きい子ども向けの場所に、その絵本は並んでいました。物事の真理という、一言では説明が難しい事柄を、美しい絵と、簡単ながらも真をつく言葉たちで綴られているお話です。
1949年にアメリカで出版され、世界中で愛され、版を重ねました。初めて日本語翻訳版が発売になったのは、それから半世紀以上も経った2001年ですが、2013年現在で日本語版は既に44版を重ね、ロングセラーの仲間入りをしつつあります。
当時10歳だったわが子にこの本を是非とも与えたい、私はそう思って購入しました。10歳の子に絵本?とお思いでしょうか。
与えたいと思った理由は、よくよく考えると実は深いのではないかと思うような「なぜ」「どうして」を、わが子が発することが増えたからです。
お母さんはなぜ、この真っ白な(わが子自身は面白くないと思う)消しゴムを使っているの?
私は、なぜ、いろんなことの練習をしなければならないの?
学校や仕事は、病気でなくても実は休んでもいいの?それはなんで?
などなど、です。その時その時の思い付きもあるものの、よくよく考えたら実に深いのではないか…と思ったのです。
子どもは、世の中における答えがあるようなないような、それでいて重要な問いを、ふと思いつくことがあります。そしてそれらを迷わず口にするけれど、その問いから得られた周囲の回答によっては、自分が無力でちっぽけに見えたり自己肯定感が下がったり、自身を否定してしまったりすることさえあります。
「自分は大切なのか」
そんな問いがふと浮かんだ時に、この本を思い出してほしい。そして、自分の存在は根拠なく肯定してほしい。そういう願いを込めて、与えて、読んでいます。
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